■自転車の逆走

 最近「自転車の逆走はダメ」とよく耳にしませんか?
「え?チャリに逆走とかあるの?」と思われるかも知れませんが、これがあるのです。
今回はその辺りのお話です(あー!お堅い話だからって閉じないで!命にかかわるお話なので!)

そもそも

 自転車は免許も要らなくて子供でも乗れるし、ルールなんて気にしない・よく分からないで乗ってる人が大半ですよね?
なので逆向きに走ろうがどうでもいい、と思われるかも知れません。
でもそれが大きな怪我や死亡を招く…としたらどうでしょうか?


 

実は非常に危険な交差点での逆走

 上の図をご覧ください。
左下の右折を待っている車のドライバーは、対向の直進車、またその影に隠れているかも知れないオートバイ、そして右折した先の横断歩道を渡る人に注意リソースの大半を向けます。多くのドライバーが少し緊張する瞬間ですね。

 そこへ画面右下に車道を逆走する自転車(赤く示しています)が来たとします。
この場合の自転車は非常に見づらい(死角や視界に入りづらい)場所から飛び出してくる上、速度も歩行者よりずっと速く、本来来ないはずの場所からの出現になるので、ドライバーの想定から外れやすい存在です。当然、右折の車が巻き込む可能性は爆上がりします。
どっちが良い悪いの話ではなく、事故そのものが起こりやすくなる点がポイントです。

右ハンドル車は右側の視界そのものは良く見えますが、左側通行ゆえ右折時は多くの注意が必要になります

一方、逆走ではなく歩道を走ればどうでしょう?
一見安全なように思えますし、実際に距離と時間の余裕が多少生まれるのですが、その代わり歩行者植え込みや柵や電柱、カンバン、その他のものが障害物となって見落とす可能性が高まります(歩道から横断歩道に出た自転車がクルマに巻き込まれる事故はそういったケースが多いです)

自転車同士

…ではどうでしょうか?こちらはもっと分かりやすいですね。
住宅街などでよくある、信号も一時停止もない、さらに住宅の塀で見通しが効かない交差点で見てみましょう。

 青い自転車は左を通行しています。みんなが左側通行を守れば、出会い頭であっても事故に至るまでに視界でも制動距離でも余裕ができます。
一方、逆走している赤自転車とこちらは互いに直前まで気づく事なくそのまま衝突する可能性がずっと高いですね。
つまりはそういう事なのです。

過失割合は?

 話を戻して自転車とクルマの事故についてです。
多くのケースでは注意する義務はクルマ側にありますが、自転車も車両である以上、相応の過失を問われます。
特に自転車側に大きな過失がある場合…例えば逆走(条件イーブンの場合は自転車50:50クルマが基本)、さらに信号無視(同じく自転車80:クルマ20が基本)といった具合に、いい加減な乗り方をすれば自転車といえどもしっかりと責任を問われるのです。
現実には100:0でクルマが悪くなるケースはごく僅かです。自転車30:クルマ70 なら自転車側は70の被害者であると同時に30の加害者という扱いです。

 まとめ

 日本は交通弱者(クルマよりは自転車、自転車よりは歩行者)を手厚く保護するようになっています。
しかしそこを勘違いして「轢いたらどうせクルマが悪い事になる」と思い込んでたり、「轢けるものなら轢いてみろ」とばかりに自転車で無茶な走り方をする人が少なからずいます。

しかし自転車とクルマがぶつかればどうなるかをまずは単純に考えてみて下さい。
そこはどっちが良い悪いの話ではないのです。さらにもし自転車の過失が大きいと過失相殺で慰謝料を大きく減額されたりします。

「注意1秒ケガ一生」は冗談っぽく会話で使われたりしますが、真理を突いた言葉だいう事を改めて認識すべきでしょう。

注意:文中の過失割合の例はあくまで基本であり、そこから様々な条件を考慮して最終的に決定されます。



 

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