■ちょっと珍しい日本の自転車事情

 市民の日常の足として親しまれている自転車…いわゆるチャリ。
しかし近年、ヘルメット着用が努力義務化されたり、クルマと一緒に「車道走れ」なんて言われたりで、扱いが変わってきてると感じませんか?
 実はここに至るまで日本では様々な紆余曲折があったので、少し解説してみましょう。

行政の失策

 時は昭和の高度経済成長期、クルマと車道を走るチャリの事故がやたら増えました。また「アメリカに追いつき追い越せ」が合言葉だった当時の日本において、物流は何よりも大切でした。
そこで「チャリを車道ではなく歩道を走らせよう」と1970年、道路交通法が変わったのです。これは他の先進国では(人口と密度が少ないフィンランドを除いて)例を見ないものでした。
 以来40年近く、2007年まで日本では「チャリは歩道を走るもの」という方針が取られ、市民にもそういった認識が定着していったのです。

 

現状

 ところが、国民のチャリの保有台数がやたら増加した事、また高齢者の割合が増えた事もあって、今度は歩道を走るチャリと歩行者の事故が頻発。
そこで上で書いた通り、2007年からは再び「チャリは原則、車道」となったのですが、これには例外があって、「高齢者や子供、また止むを得ない場合は除外」と骨抜きの形になっているのです。
これでは誰も守りませんよね。

 2023年の今でも、日本ではチャリのほとんどは歩道を走っています。
またながらスマホをやる人もそこらじゅうにいて、実際にそれが原因で歩行者が被害に遭う死亡事故も起きています。
さらにこれは私の見解ですが、昨今スポーツタイプでやたら高性能なチャリや、重量がありそれに応じて大きなパワーを発揮する電動アシスト付きの車種の割合が増え、そういったチャリで歩道を暴走する人が増えたのも事故増加の原因と思っています(チャリが歩道を走行する際は徐行が義務付けられていますが…守っている人なんてほとんど見ませんよね?)

 しかし一方でチャリが車道に出るにしても別の問題があって、日本では運転免許を取得する時以外に道交法の勉強をする機会がほぼありません。
道交法を知らない人がクルマと一緒に車道を走る時点で「危険フラグが立つ」どころの話ではありませんね。
「チャリに乗る為に、本なりネットなりで道交法を勉強する人」なんて私は見た事も聞いた事もないです。
 またクルマのドライバー側にも従来からの意識を変える事ができない人も少なからずいて…(中にはわざとチャリに嫌がらせをするような人も存在します)

この辺りは全て行政の怠慢が招いた事ではないでしょうか。

どうするか?

 歩道を走行するチャリと歩行者の事故。先進国ではほぼ日本だけのこの問題。
解決策のひとつとして「自転車用レーン」の設置があちこちでなされていますが、レーンの種類によって法的強制力の有無が紛らわしい、また歩行者がレーンを普通に歩いてたり、路駐のクルマがいて意味がなかったりと今ひとつ効力を発揮していません。

「チャリのレーン整備するにも日本は国土が狭いから…」なんて言う人もいますが、それを言うなら欧州のいくつかの国も同じです。
先も述べた通り行政の怠慢からこうなった訳ですが、人々の意識もそうすぐには(厳しい罰則と現場での取り締まりがない限り)変わらないでしょう。

 これからはコストをかけ、メディアを中心に啓蒙して、法やインフラ整備して、取り締まる警察も協力して地味に変えていくしかないんでしょうね。

あとがき

 今回は深掘り…とまではいきませんでした。
何せ今の日本において、チャリはひどく中途半端で問題が多い乗り物です。これについては回数を分けて採り上げていきたいと思います。
皆さまもチャリを利用される際はくれぐれも安全に気を配るようにして下さい。


 

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